一般社団法人 日本ネット輸出入協会 – JNEIA

代行手数料より遙かに高い、商品の返品・交換ができなかったコスト

2011-08-19 [EntryURL]

中国からの仕入れのお手伝いを普段してるのですが、購入者の立場からでなく、仕入れをサポートする側からみた、仕入れのトータルコストのお話をします。

タオバオの代行業者のなかで、手数料の範囲内で、開封して検品したり、動作チェックをしているところは多分私のところぐらいしかないと思います。
99%の代行業者は、検品のところは、数量チェックと目視によるチェックという、それって検品してるっていえるのという内容で、”簡易検品”してますってアピールしているところばかりですね。

その真面目にやっている私のところで、大変だったのですが、購入した商品の種類に対して、何種類返品や交換していたのか計算しました。
返品・返金申請というものがタオバオの中にはシステム化されていて、日本のネットショッピングサービスのように売買取引には一切干渉しないような冷たい貧相なシステムとは違い、中国政府がインターネットや電話をすべて盗聴しているように、タオバオが返品のやりとりが一部始終監視できるサービスがはいっていて、それをいつも利用しています。

そこで割合を計算してみると、びっくりしました。
直近1-2ヶ月で1200種類の商品を購入したのに対して、その返金・返品・商品交換システムを利用した回数はなんと40%近い380回でした。

ただ、購入してから商品がありませんというタオバオにありがちな売り主側の問題で、発送されずに返金してもらった問題が、半分ぐらいしめています。
在庫もって販売していないショップが95%ぐらいのタオバオといわれるので、実は在庫がなかったケースが20%ぐらいあるのは、もう慣れっこなので受け入れています。

それでも、届いた商品のうち20%近くは、私が開封検査すれば返品や交換になってしまう商品がとどいてしまうってことです。
返品の確率が20%ということは、返品しなければ商品コストに対しても20%ぐらいは、B品やまったく売れないものとして、売れる商品のコストに含めないと採算がおかしくなることになります。

ということは、代行手数料というのも商品金額に対して0~20%とかけて代行業者が請求してくるので、これって、手数料の安さだけでは代行業者を選んではいけないのかなとおもいます。
手数料ゼロでも、開封しないで数量チェックと外観チェックだけで日本に届いた商品でも、結局トータルコストで考えると、手数料20%ぐらい払って問題のない商品だけを仕入れているのと同じになります。

このデータが私のところだけの特有の数字だといけないので、タオバオ仕入れのプロに利用してもらって、一時大量に取引していただいたことあるんですが、その人の声からも、簡易検品しかしない代行業者がおくってくる商品は、感覚的に30%はひょっとしたらクレームくるかもしれないボーダーラインの品質の商品があり、5%ぐらいは全く売れないものが届くが、私のところを利用すると感覚的に15%ぐらいがボーダラインの品質で、1-2%ぐらいは全く売れないものと、やっぱり開封してみてもらったほうが、半分くらいは不良品はおさえられているという回答を得ることが出来ました。(アパレル関係の取引に限ります)

なので、代行業者を選ぶときには、多くの業者やタオバオ仕入れのプロが、安さやスピードを強調されていますけど、そこは業者同士気がつけば横並びになっていくとおもいます。
商品到着後に、検品や手直しに時間をかけたくない、またなにより想定外の品質の商品がとどいたことによる精神的な落ち込みを避けたければ、すこしぐらい手数料や、時間がかかったとしても、開封検品してくれる業者を探して頼むのも一つの手かと思います。

私のところではアパレル関係のネットショップやリアルショップのお客さまが多いのも、そういうことを想定して、元アパレル検品のプロをおいて、めんどくさい返品・交換手続きを減らすために手直しできる体制もととのえてることで、残って継続的に取引いただけているとおもいます。

初めてタオバオ取引するときに、簡易検品という数量チェック程度の検品しかしない業者を使う場合は、手数料+10-20%はコストを上乗せして、採算計算をしたほうがいいとおもいます。
マーケティング的な見かけ上の安さやスピードの裏には、トータルコストの考え方が抜け落ちていることが多いことを忘れない方がいいですね。

中国のネット取引の商品の品質はこの程度とお考えになってください。


問題を仕事として取り組むのに苦労している人が多いかな。まだ。

2011-05-17 [EntryURL]

こんにちは
タオバオ購入代行屋さんの松本です。
最近、ネットショップをやるお客様の注文が増えてきているので、うれしくてたまらない毎日です。
ネットショップをやるお客様の注文は、日本に到着してからの不良品がたくさんあるとこまるので、私のところのように、服の検品をしていた元プロのスタッフがいるところには、願ってもないお客さまです。
注文するお店も絞ってまとめてどばっと仕入れるので、ショップとの交渉のやりとりがらくになり、手間がかかりません。

その分、検品作業は数が多いので時間的に大変です。
また、見つかった不良品は返品交渉するのに一番神経をつかいます。
タオバオやアリババなど中国のネットショップで仕入れると返品はほとんどきかないとみなさん思ってませんか?

でも、電話で確認したところ、タオバオではサイトの説明通りでなかったり、電話やチャットで説明された内容と違う場合は、原則ショップがすべての費用を負担して、返金や交換に応じないといけないようになっています。
ちなみに、1000回には及びませんがそれに近く取引しましたが、200件ぐらい返品交渉しました。
まー、5件に1回はショップとケンカしないといけないレベルの品質と考えてください。
実際は、日本人感覚で考えたら返品出来る物はたくさんあるのですが、それもいれると多分、3件に1件はなんらかの問題があります。

なので、中国では仕入れる前のチャットでのやりとりが重要です。
返品する口実をチャットで記録として残すために。
日本や欧米のサイトのように、注文がくるまで外出していてもいいなんて考えでは中国ではいけないのです。
サイトにきて、チャットで返事くれなかったら、購入したいお客さまはすぐに他のショップにうつります。
サイトで書いてあっても、電話やチャットでやりとりした内容のほうが優先されますから、ショップの人も営業時間ないはすぐに対応できるようにパソコンの前に張り付いてるのが常識です。
中国ではサイトで書いてある内容は信じてませんから、買う前には必ずお店の人の声や説明をききたいし、できれば見る場所があるなら駆けつけてから買いたいぐらいなのです。
上海ではネットだけをみて買う人が多いですが、北京では道も広く車社会の町なので、サイトをみてお店があるショップならお店にいって見て買う人が多いようです。

そんなことで、私はいっぱい注文があるので店までかけつけて買うことはできませんから、タオバオの規則と違うことがサイトに書いてあれば、それをスタッフにチャットで確認して記録として証拠が残るようにやりとりを指導しています。
例えば
・商品タイトルに、ブランド、本物、正規品とかかいているけど本当なの?
・正規品や本物って何に対して言ってるの? 
 ひょっとしてデザインや生地が同じだからということで使ってない?
・品質の問題があったときに、なんで商品を送り返す運賃はコチラ持ちなの?
 
 タオバオの人にきいたらそれはサイトに書いても、タオバオの規則が優先されるみたいよ。
・宅急便がもってきた荷物は、検品してからサインしないと、サインしてからの返品は受け付けないってどういうこと?
 中国の宅急便は他の荷物が盗まれるの怖いから配達のお兄さんはマンションの入り口までしかもってこないのは、どこの地域でも同じ状況でしょ。
 私に道路で荷物広げて検品しろといってるの?雨だったら外でどうやって開封して検品したらいいのよ。
あんまり聞きすぎると、もう買わないでということになるので、同じ店にこのようなこと全てを必ず聞いているわけではないです。

しかし、ただでさえ輸出できなかったり、店で売れない物ばかりが流通していることになっているタオバオですから、日本に荷物が届いてからお客さまのがっかりした思いはしてもらわないように、中国から出る前に食い止めようと策を練ってがんばっています。
最近はアリババジャパンで、英語や日本語で仕入れるものが見つかり話しがまとまったけど、先払いしないといけないからどうしても踏ん切りがつかないとかいうお客さまの悩みを、解決して後払いにしてあげたりとかもしています。

いずれにしても、ショップとの交渉はタオバオの規則できまっていても、そんなことお構いなしの配慮ない対応をするショップがほとんどなので、結果は返品できるようになることが多くてもいろいろ嫌がらせもされます。
これまで返品交渉で95%は返品や交換を勝ち取ってきたのですが、結論はでたあとでも嫌がらせしてきます。
荷物を返却しているのは宅急便の追跡調査をみればわかるのに、何日もほったらかしで返事をしなかったり、袋が前と違うなどとウソを言うので、写真をおくらないといけなくなったりと、最後まで抵抗されます。

なので、実はスタッフに言わせるとチャットのやりとりでなく、これは戦争やケンカなんだそうです。
中国人は白黒つけないといけなくなったら、最後までとことんはっきりするまで、感情むき出しで突っ走る人がおおいように感じます。
スタッフをみていると大変です。
“仕事なんだから、問題が起こるのは当然”といってもだめです。
なんとなく、話を聞いていると、どんな取引・交渉でも負けそうになったり、抵抗されるのがいやなんだそうです。

そのいらだちをどこかにぶつけたそうな感じがプンプンしてます。
挙げ句の果てには、日本人が求める基準はタオバオで求めるのは無理で、こんな細かくチェックしたって、どうせ返品はでるんだから、事前チェックなんて私にさせないでみたいなこともたまに言われます。
それいっちゃうと、日本から仕事こなくなるんだけど。。。という感じなんですが。
日本人なら感情を抑えて、いやなことも仕事なんだからと他人事のように淡々とすすめていける人が多いとおもいますが、こっちだとそのようにはいきません。

まだまだ、重要な仕事としてお金で解決したと思ったポジションでも、それなりの報酬を得ているのに、仕事と割り切ることができず、白黒つけることに白熱してしまって、そのストレスからお客さまのことを考えた視点がもてない行動をとる方の対応が多いようにおもいます。

毎日、ジェットコースターのような感情の起伏がある人たちの光景を眺めているのですが、交渉もできず僕にはできませんどうしたらいいでしょうかと解決できない問題をすぐトップにもってくるようなスタッフじゃなくてよかったと非常に感謝していますけど。
毎日、戦いの終わったあとのご褒美を用意することに頭を悩ませる日々です。


ネット販売における返品の法規制について

2011-01-26 [EntryURL]

以下の記事は会員限定メールマガジン2011年01月25日号の一部です。 ネット販売においての返品はどのような法規制があるのでしょうか。 一般的なサイトでの明記の仕方はどのようにすれば良いのでしょう。 今回は「ネット販売における返品について」、湯川幸恵弁護士に詳しく解説していただきました。 ☆☆★――――ここから――――――――――――――――――――――― 皆様は事業を進める中で,取引の相手方が事業者か,それとも消費者なのか,意識されていますでしょうか。 消費者トラブルが多発する中,消費者を保護するための法律が整備・改正され,より消費者保護が図られるようになってきています。消費者が保護されるということは良いことではあります。 ただ,消費者と取引をする事業者の立場からすれば,消費者を保護する法律が整備・改正されていくことは,規制の強化にもつながります。 消費者と取引をする事業者にとって,事業を進めていく上で,消費者を保護する法制度について関心を持ち対応していくことは極めて重要です。 今回,問題となる法律は,消費者を保護するための法律の一つである「特定商取引に関する法律」です(特定商取引法と呼ばれることが多いので,以下,特定商取引法と呼びます)。 特定商取引法で規制の対象とされているのは,訪問販売,通信販売,電話勧誘販売などで,事業者が守るべきルールやクーリングオフなどの制度が定められています。 ネット販売は,ネットによる広告を見た消費者がネットで購入の申込みをする取引であるので,特定商取引法では「通信販売」として規制の対象となることが通常です。 それでは,問題の返品についてのルールをみていきましょう。 特定商取引法では,通信販売で商品を購入した消費者は商品の引渡しを受けた日から8日を経過するまでの間は購入申込みを撤回することや売買契約を解除することが認められています(特定商取引法15条の2)。 したがって,期限内であれば,消費者が購入申込みを撤回したり売買契約を解除して,商品を返品することができる,というのが特定商取引法の立場です。 もっとも,例外があり,事業者にて購入申込みの撤回や売買契約の解除について特約を定め,特約を表示していた場合は,商品に欠陥があるようなケースは別として,商品の返品に応じる必要はありません。 したがって,特約を表示しているか否かで大きな違いが生じることになるのです。 ここで注意していただきたいのは特約の表示の仕方です。 単に「返品不可」と表示しておけば良いのではありません。「返品に関するお知らせ」などと見出しをつけたり,表示の箇所,文字のサイズ・色などを工夫して,返品不可であることが購入者にとって分かりやすく表示することが求められます。 また,購入者が最終的に購入を申込む画面においても表示することがポイントです。 具体的な表現の例としては,商品に欠陥がない場合に一切返品を認めないのであれば,「商品に欠陥がある場合を除き,返品には応じません。」と表示することになります。 商品に欠陥がなくとも一定の期間内であれば返品に応じるのであれば,「商品に欠陥がない場合であっても,7日間に限り返品に応じます(送料は購入者にてご負担していただきます)。」と表示することになります。 『通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン』がございますので,詳細を確認されたいのであれば,下記をご覧下さい。 http://www.no-trouble.jp/page?id=1247043855065 なお,適切な表示がなされていないと業務改善指示や業務停止命令の対象となりますのでご注意下さい(罰則も規定されています)。 最後に,クーリングオフについて回答いたします。 クーリングオフ(cooling off)は消費者が頭を冷やして考え直し契約の申込を撤回したり契約を解除できるとする制度ですが,通信販売はクーリングオフの対象にはされていません。 特定商取引法を含め,消費者を保護するための法律は改正が続いています。上記の返品に関するルールを定めた特定商取引法15条の2も平成21年12月1日から施行されたもので,比較的新しいルールですので,ご存知でなかった方も多いのではないでしょうか。

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