海外から化粧品を輸入する方法【2】
化粧品を製造販売又は輸入販売するためには、「化粧品製造販売業」という許可が必要です。
(前回も説明しましたが、製造販売の許可を受けた会社に輸入の手続きをしてもらって、自分は販売元となって化粧品を販売することは問題ありません。)
では、製造販売業の許可を取得するためには、どのような条件や手続きが必要でしょうか?
化粧品の製造販売業の許可は、申請すればだれでも取得できるというわけではありません。
取得するためには、いくつかの条件があります。
1.品質管理の方法が、厚生労働省令で定める基準に適合していること。
2.製造販売後安全管理の方法が、厚生労働省令で定める基準に適合していること。
3.申請者(申請者が法人であるときは、その業務を行う役員を含む)の人的要件が適合していること。
4.品質管理及び製造後安全管理を行う者(総括製造販売責任者)を設置していること。
上の1、2については、基準を参考に準備をすれば、難しくなく条件を満たすことができます。
上の3の人的要件で述べられている「申請者」というのは、例えば自分の所属している会社だったり、又、個人で製造販売業をする場合はご自身になります。この申請者の人的要件については、一般的な会社であるのでしたら、特に問題になることはありません。
おそらく、許可を申請するにあたり一番の問題になるのは、4の総括製造販売責任者の業務ができる方の確保になるかと思います。
化粧品の製造販売業の許可を取得するためには、「化粧品の品質管理及び製造販売後安全管理を行わせるために、総括製造販売責任者を置かなければならない」と、法律で定められています。
この総括製造販売責任者に申請者以外の人がなる場合は、雇用契約書又は使用関係を証明しなければなりません。つまり、外部(社外)の方に委託することはできず、直接雇用していることが条件になっています。
総括製造販売責任者の資格というものは特にありませんので、どこかで勉強して試験を受けるというものではありません。
ただし、責任者になるには、それなりの条件(資格・学歴・職歴)を満たしていることが必要となります。
その「総括製造販売責任者」としての業務を行うためには、下記の条件にあてはまる必要があります。
ⅰ.薬剤師
ⅱ.旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
ⅲ.旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を習得した後、医薬品又は医薬部外品又は化粧品の品質管理又は製造販売後安全管理に関する業務に3年以上従事した者
ⅳ.厚生労働大臣が前各号に揚げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
ⅰの薬剤師は、そのまま資格があれば問題ありません。
ⅱは薬学部を卒業している、化学系(科学系ではありません)の学科を卒業している人なら資格があります。
ⅲは科目を修得した後、業務経験が3年以上必要ということになります。
ⅳは同等以上の知識ということで、例えば外国の大学で薬学部を卒業した場合とか、そのような時に該当します。
もし、条件を満たしているかどうかがはっきりしない時は、製造販売業の許可を申請する予定の都道府県庁の化粧品に関する業務を行っている部署(「薬務課」という名称かと思います)に学歴や経歴を提出すれば、条件を満たしているかどうか教えてもらうことができます。
株式会社ミナモ代表 木村百合
薬科大学を卒業後、化粧品会社の研究所で化粧品の開発と法律を担当。 現在は独立し、化粧品の企画販売、外国化粧品の輸入代行、化粧品薬事・化粧品全般のコンサルタントとして活躍。 薬剤師。化粧品会社 株式会社ミナモ代表。2011.01.13