一般社団法人 日本ネット輸出入協会 – JNEIA

バラエティーに富むハーブ ティー文化

2015-08-28 [EntryURL]

ヨー ロッパ人が飲むお茶といえば、なにを思い浮かべるでしょうか。紅茶、と答える人が多いかもしれません。しかし、これはイギリス人に限って言えば大正解でしょうが、スイスやオーストリア、ドイツなどの中央ヨーロッパでは少し違います。もちろん紅茶も売っていますし、インド、中東、東欧からの移民の間では依然紅茶が圧倒的に多く飲まれているようですが、スイスやオーストリアで、お茶として思い 浮かべられるものは、はるかにバラエティーに富んでいます。スーパーのお茶売り場の棚をみても、色とりどりで多種多様のお茶があって驚かされます。

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その中には、フレーバーの効いた紅茶、ペパーミントやカモミールなどのスタンダードのハーブティー、フルーツティーなど、日本でも近年スー パーの店頭で買えるものもありますが、まだ日本には馴染みがないものも多くあります。その最たるものは、ヨーロッパに自生するハーブをブレンドして薬用効果を売り物にしたハーブティーです。胃によいお茶、膀胱によいお茶、咳・気管支炎によいお茶、風邪全般によいお 茶、喉によいお茶、授乳中によいお茶などなど、個別の体の部分をいたわったり不調を緩和したりするお茶類が、店頭や薬局で一般的に売 られています。

最近はさらに、健康ブームを背景に、伝統的に飲まれているハーブ類をブレンドして、目覚めによいお茶、疲れた体をリフレッシュ・リラックス させるお茶、快適に就寝するためのお茶など、1日のバ イオリズムを意識したネーミングの銘柄も多くでています。これらは伝統的なストレートのハーブティーよりも値段が少し高めでも、売れ行きは上々のようで、毎年新商品がでてきています。値段は茶葉の種類や質によりかなり違いますが、一般的なハーブティーはスイスの店 頭で一箱(ティーバック20袋入り)200円前後です。ただし、ハーブのブレンド商品の高いものは一箱500円前後で売られているものもみられます。

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ちなみにこれらのハーブティーの気になる実際の薬用効果ですが、一定程度の効果があることは広く認知されており、医師に毎日飲むことをすすめられることもあります。我が家でも、少し風邪気味の時に風邪や喉に効くお茶を飲んで風邪の症状がすっかりおさまったり、咳や気管支 炎によいというお茶をのんで咳が減ったり、膀胱によいお茶で膀胱炎の症状が緩和されたといった家族の経験から、いくつかのハーブ ティーは常備薬さながら「常備茶」として、自宅や旅行先で手放せない存在となっています。

味については、意見がわかれるところですが、伝統的に飲んでいるヨーロッパの人たちにとってハーブティーは、 薬用効果を期待して飲む場合もありますが、漢方薬を煎じて飲む感覚というより、日本人が日本茶を飲むような、一般的な飲み物であり 嗜好品です。ただし初めて飲む人には飲みにくい場合があるかもしれません。そのような場合はティーバックをティーカップにではなく、たっぷりお湯を入れてあティーポットに入れて味を薄めて飲んだり、こどもなら蜂蜜や砂糖をいれたりすれば、ほとんど問題なく飲めると思います。

グローバルな時代、色や香りや種類が違うお茶が今後、どんどん世界に普及していくのかもしれません。ただしこれからも、お茶を楽しむ心と時間の余裕は、なくならずにあってほしいものです。

穂鷹知美
ドイツ学術交流会(DAAD)留学生としてドイツ、ライプツィヒ大学留学。学習院大学人文科学研究科博士後期課程修了、博士(史学)。日本学術振興会特別研究員(環境文化史)を経て、2006年から、スイス、ヴィンタートゥア市 Winterthur 在住。
詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。


スイスの遊具レンタル施設

2015-08-20 [EntryURL]

スイスでは、それぞれの地域に図書館があるのと同様に、 遊具をレンタルする施設がよくみられます。ルドテーク(ルドはラテン語でおもちゃ、テークは一般に施設を意味します)と呼ばれるこの半公共施設は、おもちゃが量産・多様化していく高度成長期の1970年代から特に住宅事情が悪い都市部を中心に開設されはじめ、今ではスイス全国で400箇所以上あるといわれています。わたしの住む住区にあるルドテークに、わたしもボランティア館員として(館員は、理事も含めすべて有償ボランティア)現在まで8年ほど勤務しています。

一つのおもちゃにつき日本円でだいたい200円から500円程度の賃貸料を払うと、4週間借りることができ、賃貸期間を延長もできます。大型の野外の乗り物や木でできたミニチュアハウスなど、通常数万円する遊具も、ここでは格安の値段で借りることができます。遊具が店にも家にもあふれる現代でも、次々現れる 遊具の新商品をいちいち購入せず、また時代に左右されない良質の遊具を子供達に与えたいと思う親や祖父母たちからは、ルドテークは今も高く支持されているようで、施設には複数の世代(就学前の子供達から高齢者まで)がいつも出入りしています。

この施設の館員の重要な仕事で、図書館員の仕事と最も異なる点は、コンサルテーションです。子供のおもちゃについて「コンサルテーション」とは、ちょっと大げさな気がしますが、一般的に施設にはざっと 2000点以上の遊具があり、ボードゲームなどルールが一目でわからないものも多いので、訪問者がちょっと立ち寄って、さっと簡単に欲しいと思うたぐいのものをみつけることは(自分で欲しいものの名前がわかっている場合は別ですが)至難の技なのです。そこで顧客の探しているものやそのイメージを聞いて、それに合う遊具をいろいろ提示して、簡単にやり方を説明すると、とてもスムーズに探しているものや欲しかったものがみつかります。

公共施設でも、一般の小売店さながら、ここまでしなくてはならないのか、と思われる方もいるかもしれませんが、レンタルしているものとそれの知名度のギャップの性質上(大方の親や祖父母は、最新遊具や多彩なおもちゃについての知識は皆無なので)、これが当面、最も効果的なマッチングの秘訣です。同時に、顧客とのやりとりから、顧客 が求められているものや重視する点などがじかにわかるので、ルドテーク側にとっても今後の運営に参考になります。

今後、具体的にどのような遊具が現在スイスやドイツで人気があるのか、また背景にあるドイツを中心にした巨大なノンデジタル遊具市場などについてもいずれ触れていきたいと思います。
写真はルドテークでの夏の人気遊具の一例です。短いスイスの夏を謳歌するため外遊び用の遊具が、この時期いっせいに出払って、夏が終わるとまた施設に戻ってきます。

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穂鷹知美
ドイツ学術交流会(DAAD)留学生としてドイツ、ライプツィヒ大学留学。学習院大学人文科学研究科博士後期課程修了、博士(史学)。日本学術振興会特別研究員(環境文化史)を経て、2006年から、スイス、ヴィンタートゥア市 Winterthur 在住。
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