海外から化粧品を輸入する方法【5】(最終回)
輸入する予定の化粧品の成分を確認し、販売名称が決りましたら輸入手続きにはいります。
輸入手続きは、製造販売業者の仕事になります。
化粧品を輸入するために必要な書類は3種類で、提出先は下記の通りです。
1.外国製造業者届書(提出先:独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
2.製造販売届書(提出先:製造販売業許可所在地の都道府県)
3.輸入届書(提出先:関東信越厚生局又は近畿厚生局)
この書類は1,2,3の順で提出する必要があります。
上記の書類は、厚生労働省のFD申請システムを利用できます。厚生労働省のサイトから、FD申請ソフトをダウンロードすれば、書類を作成することができます。
なお、海外から化粧品を輸入する方法【2】と海外から化粧品を輸入する方法【3】で書き忘れましたが、製造販売業、及び製造業の許可申請の書類も、このFD申請システムで作成することができます。
書類を提出する時は、プリントした書類と共に、ファイルをFD等で提出する必要があります。
又、受付を終えた書類は控えとして一部を製造販売業者が自分の手元に保存しておくようにします。
1は3部書類を作成し提出し、うち1部は受付印を押され戻ってきますので、それを控えとして保存しておきます。2と3につきましては、2部書類を作成し提出し、うち1部は、やはり受領印を押され戻ってきますので、控えとして保存しておきます。
そして、実際に化粧品を輸入する時に、3の「輸入届書」の控えのコピーを、税関に提出します。(通関業者に渡します。)
書類は化粧品1品ごとにそれぞれ作成します。販売したい化粧品が10品あれば、それぞれの書類を10品目分作ります。ただし、シリーズ商品※については1品として届出をすることができます。
(補足:1の外国製造者届書についても、毎回提出する必要がなくなりました。同じ外国製造業者であれば、最初の届出の時に一度提出すれば、次回からは省略することができます。)
※シリーズ商品とは、色調又は香調を表す部分を除く販売名が同じであり、色調又は香調以外の性状が著しく変わらない場合の商品を指します。例えば、口紅で同じ販売名称で色を表す名称だけが違う、○○○リップ01、○○○リップ02のようなものを指します。また、違う箇所は、色調と香調に限定されますので、注意が必要です。洗顔料やパックなどで、配合エキス以外の性状が著しくかわらない、うるおいパックAL、うるおいパックCOのようなブランドがあったとします。この場合、シリーズに当てはまりませんので、書類がそれぞれについて必要になります。
次に、化粧品を販売する時に、商品に記載しなければならないと薬事法及び公正競争規約で決められた表示項目(法定表示)を、定められた表示方法に基づいて記載し容器やラベルを作成します。
中身を入れる直接の容器に法定表示を印刷した場合は、商品を作る国で中身を充填しなければなりませんが、ラベルを貼る場合は、外国で貼っても日本の製造業者で貼ってもどちらでも可能です。
商品が日本へ着いたら、税関で輸入の手続きをし、日本の製造業者へ入れます。日本の製造業者で検品作業や確認をして、問題がなければ商品として出荷され、販売ができるようになります。
以上が、簡単ですが輸入に係る手続きの手順です。
【4】<海外から化粧品を輸入する方法【5】(最終回)>【1】
株式会社ミナモ代表 木村百合
薬科大学を卒業後、化粧品会社の研究所で化粧品の開発と法律を担当。 現在は独立し、化粧品の企画販売、外国化粧品の輸入代行、化粧品薬事・化粧品全般のコンサルタントとして活躍。 薬剤師。化粧品会社 株式会社ミナモ代表。2011.01.16