海外から化粧品を輸入する方法【3】
前回は製造販売業の許可について記載しました。
くり返しになりますが、この製造販売というのは、
「この法律で「製造販売」とは、その製造等(他に委託して製造をする場合を含み、他から委託を受けて製造をする場合を含まない。以下同じ。)をし、又は輸入をした医薬品(原薬たる医薬品を除く。)、医薬部外品、化粧品又は医療機器を、それぞれ販売し、賃貸し、又は授与することをいう。」(薬事法第2条第12項)
です。つまり製造販売業といいますけど、自分で製造することが許可されているわけではなく(自分では製造できません)、製造された商品を販売、賃貸、授与ができるということです。
商品を製造するためには、別に「化粧品製造業」という許可を受けなければなりません。
「医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の製造業の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の製造をしてはならない。」(薬事法第13条)
製造業という業務の範囲ですが、これは中身を作って容器に詰めてだけではなく、たとえば中身をつめた容器を化粧箱にいれるとか、容器や化粧箱に決められた表示をするとか、そのまま保管しておくとか(出荷の対応をしていない商品について)、そういうことも含まれます。
この化粧品製造業の許可は、化粧品を海外から輸入販売する場合も必要です。
えっ?て思うかたもいるかもしれません。日本で化粧品を製造しないで輸入するのに?という疑問を感じる方もいると思います。でも、輸入した化粧品を保管しておくだけの場合でも化粧品製造業の許可が必要になります。
つまり、海外から化粧品を輸入して日本で販売する場合は、「化粧品製造販売業」と「化粧品製造業」の2つの許可を持っていることが必要になります。
ただし、化粧品製造業というのは、2種類の許可の方法があります。
1.化粧品の中身の製造から最後まで(包装・表示・保管)までの全てを行うか、
2.中身の製造と容器へ詰める作業を除いた、途中からの一部分(包装・表示・保管)のみを行うか、
のどちらかを選択することができます。
輸入の場合は1.でも2.でも製造業の許可を持っていれば問題ありません。
又、製造業の仕事については、製造販売業者が自ら持っていなくても、製造業の許可を持っている会社に委託することができます。
「製造販売業」と「製造業」の区別がつきにくいようで、よく違いがわからないと言われます。
製造販売業許可は、製品を消費者や卸売業者、小売業者などに販売・賃貸・授与をするための許可です。この許可では、製造することはできません。
一方、製造業許可とは、製品の製造を行うための製造所ごとの許可で、この許可は、製造販売業者へ製品を出荷することだけができます。製品を消費者や卸売業者、小売業者などに販売・賃貸・授与をすることはできません。
つまり 製造業者 ⇒ 製造販売業者 ⇒(卸売業者・小売業者)⇒消費者
という流れになります。
(製造販売業者から直接消費者へ商品が提供される場合も、間に卸売業者・小売業者が入る場合もあります。)
これは、日本で商品を作る場合も、輸入する場合も同じです。まず、商品の流れは製造業者から始まります。ただし、これは商品の流れです。
輸入の手続き(書類の提出)等は製造販売業者が行います。製造販売業者が輸入の手続きをし、輸入した商品が通関を通ったあとは、まず製造業者へ運びます。そこで出荷の対応をし、販売をするという手順になります。
このように、消費者が日本で購入する化粧品は、「製造業者」と「製造販売業者」を、必ず介しているということになるのです。
株式会社ミナモ代表 木村百合
薬科大学を卒業後、化粧品会社の研究所で化粧品の開発と法律を担当。 現在は独立し、化粧品の企画販売、外国化粧品の輸入代行、化粧品薬事・化粧品全般のコンサルタントとして活躍。 薬剤師。化粧品会社 株式会社ミナモ代表。2011.01.14