患者の事前指示書は、医療崩壊回避の強力な切り札となるか? 〜ヨーロッパのコロナ危機と社会の変化(3)
2020-04-07 [EntryURL]
トリアージを回避する可能性をもとめて
前回、迫りくるコロナ危機で医療機関が逼迫する事態になった場合にそなえ、スイスでは、トリアージ(患者の容態で、治療の優先度を決定して患者を選別すること)に焦点をあてた新たな医療倫理ガイドラインが定められたとお伝えしました(「スイスで制定されたトリアージ(診療する患者の優先順位の決定)に関する医療倫理ガイドライン」)。
今回は、それに並行し、あるいは、そのトリアージ自体を回避するための重要な切り札として、現在スイスで期待されている、患者の「医療上の事前指示(書)」について、人々の反応や、倫理的にひっかかる点などもふまえながら、みていきたいと思います(以下、みていくのは主に文書として作成されたものであるため、「患者事前指示書」と表記していきます)
ミッション、トリアージを回避せよ
新たに設定された医療倫理ガイドラインは、医療現場に重症患者があふれる最悪の事態が発生した場合に、効力を発揮することはまちがいないでしょうが、依然、トリアージは、医療関係者にとって、最後まで回避したいものであることに変わりありません。
そして、トリアージを避ける有効な方法はまだあり、それをぜひとも推進すべきだという発言が、トリアージを定めたガイドラインの公表に並行して、医療関係者や医療倫理専門家の間で現在、活発にされており、これらについて、メディアでもさかんに報道されています。
それを一言で言うと、ガイドラインの最初にも記されていましたが、集中治療を望まない患者が集中治療室にこないことを徹底することです。
これを徹底すれば、集中治療のキャパシティがかなり広がると、救急治療や終末期医療に関わり医療スタッフたちは、確信しています。というのも、新型コロナウィルスに感染し重症化し、集中治療室に運ばれる確率が高い患者たちである、高齢者や重篤な病気の患者たちのなかで、集中治療をのぞんでいる人たちは、かなり少ないというのを、日頃、職場で実感しているためです。
例えば、医師で医療倫理専門家クローネス Tajna Kronesは、自身の経験では、高齢か若いかに関係なく重篤の患者たちで、集中治療室で最後の治療を受けたいと希望している人はこれまでほとんど会ったことがなく(Kinzelmann, 2020)、自分の病院(チューリヒ)で実際に調べた際も、集中治療を希望する患者がたった一人もいなかったと言います(Corona, 2020.)。今回のガイドラインをまとめたシャイデッガーも、高齢者や重い病気の人に終末期医療について尋ねること自体がためらわれているケースが多い一方、患者に質問をすると、「数ヶ月か数年、非常に制限された生活の質で、介護施設ですごすだけのために、すばらしく手間のかかる処置をしてもらうというのを、まったくのぞんでいないことが非常に多い」と言います(Schöpfer, Scheidegger, 2020)。
一方、病院や集中治療室にいきたくない患者が潜在的に多いとしても、それを医療関係者が把握できなければ、やはり集中治療室に運ばれ、医療機関の逼迫を避けることはできません。
このため、スイス集中治療医学会は、前回紹介した医療倫理ガイドラインの公表と相次いで、以下のような見解を発表しました。
「COVID-19(新型コロナウィルス 筆者註)流行期間中の集中治療施設の負担を減らすため、危険にさらされているすべての人々が、重篤な症状となった場合、人工呼吸などで延命措置を望むかいなか、考えてもらうことが重要」である。このため、健康医療に関連する専門学会、連盟、組織に対し、(感染後重篤化しやすい)「危険グループに属する人々に、患者事前指示書の重要性について示し、患者事前指示書が容易に作成できるようにするため、情報を用意するよう協力を要望する。」 (SGI, Stellungnahme, 2020)
患者に質問するのは不可能か
ところで、ここまで読んで、なにかすっきりしない気持ちを抱かれた方も少なくないのではないでしょうか。そのような質問をしたり、患者事前指示書の作成をすすめることは、現在、それでなくても新型コロナウィルスへの感染を恐れているはずの高齢者や慢性的な基礎疾患を抱える人々にとって、酷なのではないか。訊く側に、悪気が全くなくても、ある種のプレッシャーを患者に自動的に与えてしまうのではないか。医療行為をあきらめよ、と言っているようにきこえないだろうか。そこまで思わなくても、患者にとって、触れてほしくないタブーの質問ではないだろうか。
このような疑問を抱くのはとても自然なことで、このような気持ちを常にもつこと自体、患者事前指示書の乱用を防ぐのに大切なことであるかもしれません。少しずれますが、スイスでは自殺ほう助が合法となっており、ひとつの選択肢として受容されていますが、それでも同じようなことが、たびたびきかれます。合法であるがゆえに(自殺ほう助を希望しない人にもそれを希望しているかのように言わしめるような)、ある種の社会的なプレッシャーを、人々に与えてしまうのではないかという疑念が、社会で繰り返され、いまだに明確な答えがでているわけではありません(「自由な生き方、自由な死に方 〜スイスの「終活」としての自由死」「求めることと望まないこと 〜自由死の議論のジレンマ」)。
患者事前指示書を積極的に支持・推進してきた医師で医療倫理専門家クローネスも、多分、このような質問を何百回、何千回も受けてきたと思われますが、そのような一般的な疑問に、明快に反論します。正しく患者に接し、質問をすれば、そのようなことにはならない。重要なのは、患者の人としての尊厳を認め、質問すること。どう生きたいですか。今日の夜おだやかに亡くなることについてどう思いますか。それはどんなことをあなたに意味しますか。このように一人一人に主治医など信頼する医師や関係者が丁寧に質問すれば、本人たちから、本心からでた確かな答えを得ることができる、と言い切ります。そして「あなた(自分自身)にとってなにが重要か、なにがあなたに起きては欲しくないことかと患者に訊くことは、うさぎが蛇のことを気にするように、過酷なトリアージに目をむけるより、もっとずっと重要なメッセージだ」と言います(Kinzelmann, 2020)。
生命倫理専門家のバウマン=ヘルツレも、「もちろんこのような決断はいつも難しい」と認め率直に認めつつも、「わたしは、集中治療室での治療を受けたいか。呼吸器を使いたいか。これらの、考えたくないような問いに、自分自身で真剣に考えなくてはいけない」「なぜなら、わたしたちは、決定できないわけではないからだ」(Was tun, 2020)、と人々を鼓舞します。
このように医師や倫理専門家たちは口を揃えて、主治医など信頼できる人と話し合い、自分の気持ちに正直に向かい合い、できるだけ自分に向かう時間をしっかりとって、「患者事前指示書」を作成することをすすめます。
公共放送では、作成に対する具体的なアドバイスも、医師たちから提供されていました。例えば、ちょうど現在、主治医となっている内科医たちは、緊急患者以外は診察していないので、作成に協力してくれる時間もとれやすいはずだ、という意見。家族と話し合う場合に、本人の希望が、子供やパートナーの希望と異なり、対立することを恐れる人もいるかもしれないが、ほんとうに互いの言い分に耳をかたむけ理解しようと対話することをこころがければ、多くの場合、そのような対立はさけられる、といったアドバイスもありました (Corona: Behandlung, 2020)。また、もちろんゆっくり時間をかけて作成できればそれにこしたことないが、もし危機的な状況が迫った場合は、作っていないよりは、あったほうがいいとも言われていました(Coronavirus: Kontroverse, 2020)。
自分が受けたい医療を実現するための患者事前指示書
ところで、患者事前指示書自体は、すでに2010年前後からドイツ語圏でも、一般的に知られるようになり、スイスでは2013年から、医療機関が診療の際にこれを配慮することを義務付けています。国としても、国民に患者事前指示書は、患者が終末期の在り方を自分で決める権利を強化するものとして評価し、作成する人の数を増やすことを様々な形で奨励・推進してきました(Die Bundesversammlung, 2018)。
ただし、これまでの患者事前指示書の奨励の動きが、患者自身の終末期の希望を叶えることというその一点だけを目指した動きであったのに対し、今回は、もちろんそのことも、これまで通り重要なテーマですが、それと同時に、違う目的、逼迫する医療施設の負担を最小限におさえる、という目的にも叶っているということが強調されていることが、これまでとは異なっています。そして、スイスのロックダウンの決定以降、患者事前指示書を作成することの重要性が、改めて医療機関やメディアを通じて国民に広く、繰り返し訴えられ、オンラインでも、資料や情報が多数、公開されています。
患者事前指示書に特定の形はありませんが、スイス医学アカデミーが想定するもの、推奨するのは、以下のようなものです (SAMW, 2018)。
・判断能力があるすべての人が作成できる。未成年の若者も含まれる。本人の自由意志で作成されたものでなくてはいけない。圧力や強制でしたものであってはならない。治療を受けるための前提ではない(あれば治療の際に配慮されるが、なくても治療は受けられる)。
・文書には、日付と自筆のサインが入ったものがのぞましい。2年に一回更新することも推奨される。
・患者は、いつでも文書あるいは口頭で取り消しができる。ただし、口頭の場合で、それを証明するのが難しいような時は、不明瞭になることを回避するため、有効な患者事前指示を、破棄すべきではない。もしも事前指示の内容が患者の意志を異なると思われる場合、患者の関係者(主治医や家族など)と、これについて検討すべき。検討の結果、意志と異なると思われた場合、担当医師はこれを配慮にいれない。
・医療機関は、患者事前指示の存在を医療機関が把握しておく必要があるため、判断能力がある患者が医療機関に入る際、事前指示があるかを訊き、ある場合はそれを記録しておく。事前指示の内容がいまも有効であるかを確認できれば理想的。
ちなみに、ロックダウンの直後に、チューリヒ近郊の小都市ウスターの老人用住宅および介護施設の住人50人に、担当医師が、新型コロナウィルスに感染した場合についての希望を調査した結果は以下です(Corona, 2020.)。
・病院に行くことを希望した人 26人、
(このうち、6人は、そこでの集中治療も希望)
・病院には行かず施設に留まりたいとした人 24人。
(このうち19人は、緩和ケアを希望)
終末期緩和ケア
繰り返しになりますが、慢性的な基礎疾患をもつ人や高齢者は、新型コロナウィルスで重篤な症状がでることが多く、集中治療の専門家のこれまでの経験によると、このようなグループの人の多くが、人工呼吸器を使う集中治療が行われても、致死率は非常に高くなっています(Roland et al., 2020)。これらのグループは、実際に、集中治療を望まない判断をした場合、どうなるのでしょう。
クローネスは、自分が医学生の時大学教授が「肺炎は、高齢者の友」と言っていたことをためらいながらも引用し、新型コロナウィルスの重症化によって引き起こされ死に至る肺炎も、専門的な緩和ケアをすれば、おだやかな死を迎えられるし、スイスにはそれを可能にするプロフェッショナルな緩和ケアのスタッフと技術があるといいます(Corona, 2020)。
トリアージの医療ガイドラインでも、「集中治療が行われない場合、総合的な緩和ケアがなされなければならない」(SAMW, Covid-19-Pandemie, 2020, 3)とされています。実際、ガイドラインがだされたあと緩和ケア関連団体が、これに呼応する形で具体的に動きだしました。
まず、緩和ケア専門協会(FGPG)は、「新型コロナウィルス・パンデミー 高齢者および病弱な人々の家庭および介護施設での緩和ケアの観点」(SAMW, Coronavirus, 2020)を発表しました。これは、「高齢で多併存疾患のある患者は、看護や集中治療をしても、致死率が高い。人工呼吸器をつけるなど集中治療をしても高齢者が生き延びる確率は、これまでの経験上、かなり低」いが、これらの患者の「多くの人は、集中治療室に行かずに、自分たちがよく知っている環境でなくなりたいと望む」という(ほかの医療関係者と同じ)理解のもと、実践的な緩和ケアとして推奨されるものを、予想される個別の症状に合わせてまとめたものです。
また、緩和ケア関連者に呼びかけ、緩和ケアの体制の一層の強化をはかるため、”フォーカス・コロナ”というプロジェクトチームが新たに設立されました(SGI, Stellungnahme, 2020)。
現在、新型コロナウィルス感染者で終末期の緩和ケアを望む人たちのため、介護施設や、(一部の地域では)自宅での受け入れ体制が急ピッチで整えられている模様です。
このような危機こそ、社会が避けずに直面するチャンス?
スイスは4月1日現在、新型コロナウィルス感染者数は17316人で、465人の方が亡くなりました。まだ集中治療室や病室には余裕があるとされますが、チューリヒ工科大学のレポートでは、4月中に感染者や重症者がさらに「津波のように」増え、1000病床が不足すると予想されています。
こう聞くと、「トリアージ」という恐ろしい言葉が、また脳裏をよぎりますが、今回、ガイドラインの作成の中心人物であるシャイデッガーは、トリアージのような厳しい決断は、今回のコロナ危機に限った話ではなく、「それは、平常時でもやはりまぬがれないものだ」と強調します。もちろん現在は、平常時以上に難しい状況だが、平常時でも「すべての人を助けたり、すべての人にいつも診療の可能なものをすべて提供できるという」認識は正しくなく、「そのような決断を社会が避けてとおろうとしてきた」だけなのだ、といいます。そして、「このとても扱いにくい(微妙でむずかしい)テーマについて、やっと、オープンに正直に議論できることができるようになったのだとすれば、コロナ危機の副次的な効果といえるかもしれない」と言います。
医療関係者から今回、投げかけられた、この重たいボールを、スイスの国民たちは、危機の最中にあって、ついにしっかり受け止めるのでしょうか。本音は、どんなものなのでしょう。
3月中旬以降これまでの2週間あまりの間で、様々なメディアが、トリアージのガイドラインと患者事前指示書について、とりあげてきました。これだけの事実からも、メディアや一般の人々にとって、このことが、ショッキングであったが容易に想像されます。一方、これらの報道をみると、公共放送でもタブロイド誌でも、概して中立的で、反論や批判的な論調は、ほとんどみあたりませんでした。
筆者の調べたなかで、批判的なニュアンスが感じられたものは、ふたつだけでした。一つは、公共放送のニュース番組のインタビューに介護・青少年および障害者施設のスイス全国連盟の会長が出演した時のコメントで、患者事前指示書を患者に「無理やり作成させるべきではない」(Bei schweren, 2020)と言った際の、少い強い語調です。
もう一つは、スイスの名高い高級紙『ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥンク』(「意見と討論」欄)で、医療倫理ガイドラインについて、「適者生存Survival oft he fittest」のロジックだ、という表現です(Stadtler, 2020)。
しかし、前者は、施設に重傷者がでた場合、まず、患者事前指示書があるかを確認するとし、それを重んじることは自明としていますし、後者も、同じ記事のなかで「予想される医療機関の負担の過剰は、社会を深い倫理的なジレンマにもたらす」(Stadtler, 2020)といった書き方も同時にされていることからわかるように、尋常ならざる現状を、全体として皮肉に表現する一端として、過激な表現を用いているにすぎず、全面的にガイドラインを批判しているというわけではありません。
胸のうちでは、強い衝撃や抵抗があっても、現在の状況で、医療倫理ガイドラインや事前の指示以上の、良案があるわけでもないと認め、これらの提案や働きかけをなんとか理解し、容認しようとする傾向が、社会に静かに広がっている、という風にみえます。
患者事前指示書が、患者自身の生活の質を下げないためのツールとして、これまでに、かなり認知され、作成することが一般化してきていることも、今回の話を冷静に受け入れるための、助けになっていると思われます。2017年の調査では、スイスではすでに65歳以上の住民の47%と半数近くが、患者事前指示書を作成しています(18歳以上の成人すべてでは、全体の22%、Pro Senectute, 2017)。換言すれば、この割合はまだまだ低く、さらに割合をあげること、とりわけ、慢性的な疾患のある高齢者の作成の割合を高めることが、現在、大きな課題となっているといえます。
おわりにかえて 〜医療機関に丸投げするのでも、あるいは住民に「手をよく洗う」ことをアピールするだけでもない、第三の道
少し話は変わりますが、ヨーロッパでは、コロナ危機以来、民主主義的な社会と、管理国家的な社会のどちらが、コロナ危機のマネジメントとしてすぐれているか、という議論がたびたびきかれます。
そこでは、前者が、基本的に、住民に分別ある行動を訴え、住民自らの自主的な行動で、感染拡大を抑制しようとするのに対し、後者は、人の行動をデータでできるかぎり監視したり、禁止などの厳しいルールで統制することで、感染拡大を防ぐというアプローチになります。
スイスは、この2種類のおおざっぱな分け方で言えば、前者に属するでしょう(少なくとも今のところ)。スマートフォンの個人情報は移動の頻度や範囲を把握するのに利用する以外は、使われておらず、デジタル機器を駆使して監視や細かいルールで外出を規制するよりも、人々がみずから責任をもって行動するよう働きかけることに、強い関心や期待が置かれているようです。それは、ロックダウンについての記者会見での、以下のようなベルセ保健相の言葉にもよくあらわれています(以下、ベルセ保健相の3月20日の記者会見の発言の一部の要約)。
「ヨーロッパのほかの諸国に比べると、スイスの規制は厳しくはない。外出を画一的に禁止するわけではない。なぜか。それは、どんな厳しい規制をつくっても、最終的に国民が同意し、いっしょにやらなければなんの意味もないからである。肝心なのは、国民が状況を理解し、自分たちが自主的に行動することなのだ。このようなやり方は、文化が違うため違う方法をとる隣国と同じである必要はなく、これこそ「スイス流」だ。」
今回、医療倫理ガイドラインと患者事前指示についてみてきて、これもまた、この「スイス流」として期待されている分別ある主体的な行動規範の一環であるように思われました。一方で、トリアージがおこるかもしれない、おこった時は具体的にどのようにその優先順位を決めるか、という厳しい現実と、そこでの公明正大なルールについて、国民にその理解や同意を求めます。他方、自分自身が希望する終末期治療を受けるため、また医療機関やそのスタッフたちの負担を少しでも減らすため、自分たちでどんな治療をのぞみ、生きていることでなにを大事にするかを自問することも、訴えます。
現在抱えている問題はあまりに深刻です。しかし問題がいかに深刻で困難であっても、社会のそれぞれのアクターたちへの対処が誠実で、説明が公明正大であれば、互いの誤解や非難は生じにくく、逆に、それを社会全体で協力的に解決する確固な土台ができるかもしれません。その結果、少し強い言葉で言えば、危機にあってスイスの人々に求められている「連帯」、(手を洗う、人とは距離を置くなどの日常的な行動規範にとどまらない)連帯を体現する行動につながっていくのかもしれません。
スイスから目をはなし、ほかの地域をみれば、もちろん社会や人々によっては、医療関係者にすべて丸投げにし、医療機関に重い負担を負わせるという選択肢をのぞむところもあるでしょう。
どんな対策をとるにせよ、コロナ危機によって医療機関が逼迫する危険は、すでに世界各地で起こっており、また今そうでない地域もこれから十分起こりうることであることだけは確かです。
それぞれの国で、実際に人々が、どんな行動を、どれくらい実践していくべきなのかが、今、問われています。
参考文献
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Kinzelmann, Fabienne, Medizinethikerin Tanja Krones über Spitäler-Kollaps und das ethische Dilemma. In: Blick.ch, Publiziert: 19.03.2020, 22:26 Uhr, Zuletzt aktualisiert: 20.03.2020, 14:27 Uhr
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Zielcke, Andreas, Moralisches Elend. In: Süddeutsche Zeitung, 23.3.2020.
穂鷹知美
ドイツ学術交流会(DAAD)留学生としてドイツ、ライプツィヒ大学留学。学習院大学人文科学研究科博士後期課程修了、博士(史学)。日本学術振興会特別研究員(環境文化史)を経て、2006年から、スイス、ヴィンタートゥーア市 Winterthur 在住。
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